仕事がいつしか趣味となり、この住まいで見事に結実しました。「6年間ずっと工事中のお家に住んでいるようなもの」(安川さん)との鋭いつっこみになりますが、寸分の狂いもなく貼られたトイレのタイルも、玄関の置物も和室を飾る籐の装飾も、リビングのサイドボードも伽能さんの立派な作品なのです。 素材や部材の選び方法にも、プロならではの知恵と経験が光ります。例えば洗面所のボウルにしても、グッズや道具をおいてもすべらないようにと、理科実験篭で試験杵やビーカーを洗う専用のごつい角形を利用しています。床では愛犬たちが足をすべらせてはかわいそうだから、病院やお店の床に使われるリノリウムをしきつめていました。
平らで汚れた床は色彩ゆたかなインテリアを引きつめ、「案外汚れが目立たず掃除もラク」(安川さん)という嬉しいオマケもあったそうです。 もちろん、いいことずくめではありません。水漏れで、作りつけの食器ラックやフローリングがすべてダメになっていました。台所が思ったよりも狭くて外国製のシステムキッチンが入りませんでした。